虚
人間たちは、凄い。
一瞬で、体いくつぶんも遠くまで駆ける。
軽々と、体いくつぶんも遠くまで物を投げる。
オレには、できない……
炎の巨人カークスは火球を生むと、力の限りそれを投げた。
火球は彼の体二つぶんほどを飛んで、砦を破壊した。
ほら、オレは遠くまで物を投げられない……
彼は、自分の大きさをわかっていない。
実
人間たちは、不思議な生き物だ。
自分の体ほどの大きさもある石を、何年もかけて工夫して積み上げて、オレたち巨人の遊び場を作ってくれる。
どうして、こんなに優しくしてくれるのだろう?
オレたちは、人間に何もしてあげられないのに。
オレは、人間に感謝して、作ってくれた遊び道具を壊す。
真
燃えるような赤い目――
オマエも、体の中に火を飼っているのか?
触った物を燃やしてしまうのか?
赤い目の人間は答えた。
「そうではない。だが、それに近いことは起きる」
そうなのか……
……オマエ、大変だな。
オレと同じ辛さを持つ人間。
オレはお前を、助けてやることはできるか?
深
赤い目についていくと、不思議なことが起きた。
友達が、いっぱいできた。
炎を使うメガミは教えてくれた。
建物は遊び道具じゃない……
だから見境無く壊しちゃいけないことも、知った。
戦いを終わらせるために戦う、そんな戦いがあることも知った。
オレは戦いに呼ばれる。
だけど、人間や生き物は殺したくない。
そう言うと、紅い目の人間は「それでかまわない」と言った。
みんなが、シンネンに基づいた範囲で戦えばいいと。
シンネン……それは難しくて、オレにはよくわからない。
ただ、オレの体の中にある火のようなものだと、紅い目は言った。
罪
全力で砦を破壊する。
全力で本拠地を破壊する。
そうすれば、戦いが早く終わることを、知った。
戦いが終われば、味方は安全になる。敵を逃がすことができる。
殺し合うのは、無駄だ。
無駄に殺し合う必要は、ない。
戦いさえ終われば……きっとその後は、友達になれる。
体の炎が熱く吹き上がる。
信念。
カークスは誰よりも積極的に、戦いに臨む。
皆と友達になれる、穏やかな日々の到来を願って。
余談
ローマ神話に出てくる巨人。
体内には炎が吹いているとされる。
lovでは3に登場。
コモンカードの魔種大型使い魔でありながら、高攻撃力+実用的な「ツインアタック(2体攻撃)」で、
同じく高攻撃力のアタッカーである魔種レッドクィーンと組んで暴れ回った。
本来ならば天敵であるはずのディフェンダータイプにも強引に押し勝ててしまったので、もう止まらない。
「もう全部あいつらだけでいいんじゃないかな……」であった。
その一世を風靡した組み合わせは「レッドクィーン」「カークス」の名前から「レッカー」と呼ばれた。
レッカー車のごとき処理力・解決力にぴったり。
サヴァスロでは遠距離から砦を壊す使い魔として登場。
奇しくも、またレッドクイーンと合わせて尖らせてみたい性能をしている。