虚
無慈悲なる鋼鉄の体を持つ破壊者。
ツバーンはその場を動かず、熱線によって任務をまっとうする。
任務は、この世に有り得ぬはずの生命の破壊。
実
任務……この世に有り得ぬはずの生命の破壊。了解。
任務遂行形態にて待機……攻撃対象を感知、この世の生命全て。
ツバーンは、自らの論理プログラムで命令に矛盾を見出す。
しかし、幾度チェックをしてもその体のエラーサインは鳴らない。
ツバーンは熱線を溜め、風に翻る木々の落ち葉を焼いた。
エラーサインは鳴らない。
この木は、この世に有り得ぬはずの生命だったのか。
攻撃対象の基準を再度見直す。
システムスキャン……チェック完了。
攻撃対象は、一つも減らない。
真
攻撃対象過多、任務完遂に対する障害と見込む――
ツバーンは、緊急通信を放つ。しかし、応答はない。
あまりにも多い攻撃対象を懸念し、ツバーンは自らの周囲のわずかに攻撃対象を狭めた。
優先順位の見直しをしたのである。
最も近い攻撃対象から、殲滅を始める――
そのように最適化したとき、問題は起きた。
攻撃対象の存在座標は、自らの核に一致していた。
自分自身が……攻撃対象?
なぜ自らが……この世に有り得ぬはずの生命……?
鋼鉄の心臓が「疑問」を抱いた瞬間であった。
深
ツバーンは、双剣の女戦士に戦いを挑まれていた。
ツバーンに、決闘という概念はない。
ただ、任務の遂行があるだけだ。
目にもとまらぬほどに敏捷な戦士に、ツバーンは連続で熱線を放つ。
生命体と違い、一切の予備動作の無い予測不可能な攻撃――
だが、なぜかそれが次々と避けられる。
命中率100%の表示が、容易く躱されるのだ。
この人間、慣れている?
この人間、機甲と戦ったことが、ある?
他の機甲が、存在するのか――?
双剣の戦士は木々の枝を次々と蹴って飛翔し――
ツバーンの頭に、二刀を振り下ろそうとした。
罪
狂戦士と、妖精。
見逃してくれた二人の後を、ツバーンはゆっくりとついていく。
時折、妖精がちらりと振り返って、べーっと舌を出す。
ツバーンにはその意味がわからない。
親愛という感情表現かもしれない。
二人は依然として、攻撃対象である。そして、自らも。
しかしツバーンは、攻撃しない。
二人を処理するよりも、二人についていく方が……なんだか、面白そうだ。
そう「思った」からだ。
余談
lovシリーズのオリジナル使い魔、「機甲」と呼ばれる存在。
自律し、意思を持たず、淡々と任務をこなす。
機甲の名前は恒星から取られており、ツバーンはりゅう座α星。
lov1の半ばに登場。
ベガと同じく最大コスト30だったが「とにかく固いだけ(その堅さもHP偏重なので実は微妙)」であり、
先に登場していたベガと主力の座を争うことはかなり難しかった。とくに技の性能差が絶望的。
さらに言うと、同じく闇属性の25コストにリゲルという機甲デッキならまず抜けない最強機甲がいた。絶望的。
そういった不遇が重なる中、
「最大コスト」「無骨」「単体攻撃」「技はそよ風」との佇まいが背中で語ったのか、
まるでlov1ギガスのようにファンを獲得。
公式イベントでは2分の1サイズのペーパークラフト・ツバーンを総合プロデューサーが作って展示するなど、妙な流れを作った。
lov時代のツバーンはのっしのっしと歩き、両腕(?)のブロックをズドンと叩きつけて攻撃する物理型だった。
lov2では機甲種自体が消滅。
ポセイドンが改修した海種-機甲軍団の中にも、ツバーンタイプの姿はなかった。
lov3後半で、まさかの復活。
まずはストーリーモードで、主人公ヴォルフとアルスの中から飛び出てきてプレイヤーたちを驚かせた。
その後、カード化される。
巡行モードと殲滅モードを使い分ける大型使い魔、戦場でかっこいいツバーンがついに登場した。
サヴァスロではソエルと戦い、ソエルたちと共に行動するようになっている。