老いてから授かった、大事な大事な一人息子なのです。
この子こそが、私たちの生きがいなのです。
私たち二人は、他に何も望みません。
ただこの子が強く逞しく、幸せになってくれさえすれば……
「それで、この私を呼んだのですね?」
はい、そうですエリゴス様。
この子にとってそれが最良の選択ならば、私たちは天使も悪魔も問いません。
強大な力を授けるという、大悪魔エリゴス様に……
「……我が力をもってすれば、あなたがたの願いは叶うでしょう。
確認です。あなたたちの言葉に、偽りはありませんね?」
もちろんです!
私たちは貧しく学もなく、立派な人間ではありません。
ですが、最高の親ではありたいと願っています。
だからどうか、悪魔様……
「……よろしいでしょう。契約は完了です」
今まで、何千何万と繰り返されてきた手続き。
私は望み通りの願いを叶える。
そして、この夫婦は後悔する。
「先生。この陣形なのですが……評価の高さに疑問があります」
「ふむ。どうしてそう思ったのですか?」
「それは……補給線が伸び、戦力を逐次投入する形になります」
「そうですね。ではそれは、なぜ問題があるのです?」
「消耗戦になります。味方の被害が増大します」
「よろしい。よく理解できていますね。しかし、それでなおこの陣形には強みがあります」
「……!? そ、それは一体」
「まず自分で考えてみましょう。明日、あなたの考えを聞かせていただきます」
「は、はい……!」
「楽しみにしていますよ。では今日は、ここまで」
「はい、ありがとうございました。エリゴス先生」
少年は戸を開け、去って行く教師の背に恭しく礼をした。
夫婦は、得体の知れないものを見る眼差しで見ていた。
エリゴスではなく、まだ6つになったばかりの息子を。
息子はどうしてしまったのか。
教育係であるあの悪魔は、上手くやっている。
息子は剣術も、兵法も、教養も、全てにおいて傑出している。
だが……いや、それゆえに……
まだ10歳だというのに、あの子が何を話しているのか……
何を考えているのか……わからない。
優しい子だ。
その明晰さをもって、私たちを愚弄するようなことはない。
あの子は私たちと話をするときに、明らかに「手加減」をしてくれている。
手加減……
まだ10歳の子供が……親相手に、手加減……
あの子は私たちを頼ることがない。
私たちに甘えることもない。
ああ、なんて可愛げのない子供だろうか。
どうしてこうなった……
こんなはずでは……こんなはずではなかった。
少年が、18歳の青年となった時のことである。
神童の名を汚すこと無く成長した青年は、王都の騎士団から招待された。
辺境の村の農民としては考えられない、大抜擢である。
だが、青年は出立の前夜に命を落とした。
両親が「全てを奪った悪魔」に向けて放った銀の矢を、その身で受け止めたのだ。
震える両親の前で、エリゴスは教え子の頭を膝にのせ、その最期を看取った。
「……犬が欲しかったんだと、思います。
手のかかる……自分たちがいないと……生きていられない……犬が。
そういうかわいさって……ありますよね……
僕に……犬であってほしかったんだと……思います」
「恐らく、正解です」
「父と母には、感謝していた……けど、尊敬はできなかった……」
「次は、よい両親に巡り会えるでしょう」
「……いや、人間は、もういいです。次は……先生の、力になりたいな」
「……気づいていたのですか」」
「18年一緒にいたのに……齢、とらなすぎですよ……ハハハ……
……先生は……悪くない……
だから……泣かないで……」
エリゴスは少年の親に背を向けたまま、言った。
「契約は終了です。今まで、ありがとうございました」
悪魔と言えば、ありがた迷惑。
風評被害だと思いませんか。
私はただ、当初の契約通りに仕事を遂行したまで。
何が「力を得るが、結果として不幸になる」ですか。
不幸になったと思い込むのは、人間側の歪みによるだけでしょう。
人間は、もっと自分自身を疑うべきなのです。
今の言葉は本心か? ただの綺麗事ではないか?
本心だと思って発した偽りではないか? と。
そして正直に生きればよいのです。
手のかかる庇護対象がほしいと願われれば、私もその通りにしたものを……
「先生って、実はけっこう愚痴っぽいんですね」
ぐ、愚痴っぽい……?
な、なにを。私が言っているのは正論です。そうでしょう!?
「正論ですけど、愚痴でもあるでしょ。
僕なんか、正論正道を貫いたら、先生を庇うはめになって死んじゃったわけですし。
そういう綺麗に収まりきらないところが、世の中の面白いところじゃありませんか?」
むむ……知ったような口を……
何が「世の中の面白いところ」ですか。
私の使い魔として転生できたからよかったものの……
ほら、まっすぐ飛びなさい!
次の依頼人との面会時間が迫っているのですよ!
「はいはい。次の依頼人は、どんな感じですか?」
それは会ってみるまでわかりません。
ですが……
……次は、あなたのような不幸な目にはあわせません。
「僕が不幸? 何言ってるんだか。不正解ですよ、先生」
ふん……可愛げの無い教え子です。
見えましたよ、あれが次なる依頼人の家です。
さあ、名乗りを上げて、次の契約を結びにいきましょう。
我は魔界の第15公爵エリゴス――――
真に力を欲する者は、汝か?
風評被害だと思いませんか。
私はただ、当初の契約通りに仕事を遂行したまで。
何が「力を得るが、結果として不幸になる」ですか。
不幸になったと思い込むのは、人間側の歪みによるだけでしょう。
人間は、もっと自分自身を疑うべきなのです。
今の言葉は本心か? ただの綺麗事ではないか?
本心だと思って発した偽りではないか? と。
そして正直に生きればよいのです。
手のかかる庇護対象がほしいと願われれば、私もその通りにしたものを……
「先生って、実はけっこう愚痴っぽいんですね」
ぐ、愚痴っぽい……?
な、なにを。私が言っているのは正論です。そうでしょう!?
「正論ですけど、愚痴でもあるでしょ。
僕なんか、正論正道を貫いたら、先生を庇うはめになって死んじゃったわけですし。
そういう綺麗に収まりきらないところが、世の中の面白いところじゃありませんか?」
むむ……知ったような口を……
何が「世の中の面白いところ」ですか。
私の使い魔として転生できたからよかったものの……
ほら、まっすぐ飛びなさい!
次の依頼人との面会時間が迫っているのですよ!
「はいはい。次の依頼人は、どんな感じですか?」
それは会ってみるまでわかりません。
ですが……
……次は、あなたのような不幸な目にはあわせません。
「僕が不幸? 何言ってるんだか。不正解ですよ、先生」
ふん……可愛げの無い教え子です。
見えましたよ、あれが次なる依頼人の家です。
さあ、名乗りを上げて、次の契約を結びにいきましょう。
我は魔界の第15公爵エリゴス――――
真に力を欲する者は、汝か?
ソロモン72柱の悪魔の一人。序列15位、地獄の公爵。
未来を予見する力を持ち、秘密や謀略、戦争について語るとされている。
また、王や偉大な人物の寵愛をもたらすとも言われる。
lovでは3と4に登場。
3では魔種の中コストアタッカーとして登場し、最初期では唯一の根元2発確殺使い魔として恐れられた。
プレイヤーたちがゲームシステムに慣れていない中、根元2パンはほとんど防げない攻撃であった。
エリゴスに封殺されたハルフゥ(ミスでHPが100低かった)は数知れない。
lov4ではECR(エクストラコスチュームレア)で浴衣+りんご飴という姿も披露している。ゲーム中の巨大な槍も巨大なりんご飴に変わる。
「スペシャルカードで布面積が増えた」という、カードゲームでは非常に珍しいタイプのECRだった。
サヴァスロではドラック・オン・ドラグーンのコラボ使い魔『カイム』のリンクカードとして登場。
騎乗状態から撃破されると蛇から降りて戦う。エリゴスが蛇から降りて歩く姿はシリーズ初。
フレーバーテキストは「未来を予言し」「陰謀や戦争を説き」「王の寵愛を授ける」というエリゴスの原典に沿ったものとなっている。
そして、悪魔との契約のお約束である「ありがた迷惑」「不幸になる」とも。
しかし蛇となった彼も幸せそうなので、本当は人を幸せにできる悪魔なのかもしれない。
未来を予見する力を持ち、秘密や謀略、戦争について語るとされている。
また、王や偉大な人物の寵愛をもたらすとも言われる。
lovでは3と4に登場。
3では魔種の中コストアタッカーとして登場し、最初期では唯一の根元2発確殺使い魔として恐れられた。
プレイヤーたちがゲームシステムに慣れていない中、根元2パンはほとんど防げない攻撃であった。
エリゴスに封殺されたハルフゥ(ミスでHPが100低かった)は数知れない。
lov4ではECR(エクストラコスチュームレア)で浴衣+りんご飴という姿も披露している。ゲーム中の巨大な槍も巨大なりんご飴に変わる。
「スペシャルカードで布面積が増えた」という、カードゲームでは非常に珍しいタイプのECRだった。
サヴァスロではドラック・オン・ドラグーンのコラボ使い魔『カイム』のリンクカードとして登場。
騎乗状態から撃破されると蛇から降りて戦う。エリゴスが蛇から降りて歩く姿はシリーズ初。
フレーバーテキストは「未来を予言し」「陰謀や戦争を説き」「王の寵愛を授ける」というエリゴスの原典に沿ったものとなっている。
そして、悪魔との契約のお約束である「ありがた迷惑」「不幸になる」とも。
しかし蛇となった彼も幸せそうなので、本当は人を幸せにできる悪魔なのかもしれない。
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