スクウェア・エニックス社より配信されているスマートフォンゲーム「サーヴァント オブ スローンズ」(サヴァスロ)の非公式攻略Wikiです。


ロビン・フッド

夕暮れの森に静寂が訪れる。
「腹が減った。飛んだ者を撃つ」
樹上で弓を構える射手は、森の吐息のように静かにそう言った。
警告ではない。そう決めているという、宣言だった。
沈黙に耐えられず、遊び好きな鷹の子供が茜空を飛んだ。
その首筋を、音もなく一本の矢が射止めて落とした。
落ちた子鷹を、たくましいかぎ爪の親鷹が射手の元へと運ぶ。
「詫びはしない。狙った獲物は外さない。それがロビン・フッドだ」
親鷹は畏敬をもって頭を垂れるように、その場を動かなかった。

この森を通るな。
この森は俺、ロビン・フッドの森だ。
お前は、家にずかずかと上がり込む異邦人を許すか? 許さないだろう?
そうだ、おとなしくこの森を去れ――
不思議な声が森をこだまする。
みすぼらしい男は一歩あとずさり、二歩目で背を向け、三歩目で駆けだした。
「行ったか。あいつは俺の仲間じゃないな」
樹上の射手、ロビン・フッドはつがえていた矢を矢筒にしまう。
「帰る場所があるなら、帰ればいいんだ」

当たらないかもしれない――
いつ以来の感覚だろう。
いや、初めての感覚かもしれない。
森で出会ったアマゾネスの少女に矢を向けて、ロビン・フッドは驚愕した。
どれほど音を立てず樹上を跳んでも、
少女のきらきらした瞳は正確に己の姿を追い続けている。
「おい、お前、人間か!? すごいな! ママリリと追いかけっこできるかも! なれなれ、お前、ママリリの友達、なれ!」
「友達……?」
少女から敵意は見て取れない。
どのみち、この少女には隠れても無駄だ。
ロビンフッドは樹上から降り立ち、姿を晒す。
「俺はロビン・フッド。友達は探していないが……仲間は募集してる」
「仲間? ママリリは友達を探してる。じゃあ、こうしよう! ママリリはお前の仲間、なる! お前はママリリの友達、なれ! 一緒に冒険する、ぜったい楽しい!」

「ママリリは、どうして友達を探してるんだ?」
「え? なんでそんなこと、きく? 友達、たくさんいたら楽しい! だから探してる!」
森をゆく道中、あまりにも明快な受け答えに、ロビン・フッドは苦笑した。
「たくさんいたら楽しい、か……そうか、そうだったかもな」
都を追われたならず者たちが集まった、シャーウッドの森……
時とともに「義賊」として組織化されていったそれも、最初は単に「楽しい仲間」の集まりに過ぎなかった……
リトル・ジョン、アーサー、タック、マッチ、二人のウィル……
そして、本物のロビン・フッド。
……本物の、ロビン・フッド?
今、俺の頭の中に浮かんだものは、何だ?
いや、今思い浮かんだ面々は……誰だ?
そもそもシャーウッドの森とは……何だ?
この世界にそんな森は……ないぞ?

「フェニックス……お前は死と再生をつかさどる不死鳥だというじゃないか」
「いかにも。我は永劫の時をゆく旅人にして、世界の輪廻を見守る者」
それを聞いて、ロビン・フッドは吹き出す。
「たいそうかっこいいことだが、今のお前はママリリの常備食かつ、焚火の火付け役だからな」
「永劫の時の中にあっては、かようなこともある……と我も思いたい」
「本題に入るぞ」
ロビンフッドは、矢のような鋭い視線で不死鳥を射ぬかんとする。
「お前が生きてきたその長い長い時間の中で……
シャーウッドの森という場所は、この世界にあったか」
「……」
「失地王ジョンという名を聞いたことは? いや……ロビン・フッドという名を聞いたことは、あるか?」
不死鳥の炎が、かすかにゆらめく。
「……ある」
「あるのか!?」
「あるが……我もまた、惑うている。それが……我が知るこの記憶は……我が見聞きしたものではない。この世界とは断絶している、なぜか存在する遠い記憶……」
「……お前も、俺と同じってことか」
「理の歪みを感じる……おそらく、アルカナの力が何かを引き起こしている。……ロビン・フッドよ。真実を追うことが必ずしも幸福とは限らぬぞ」
ロビン・フッドは鼻で笑った。
「真実はもう、俺の獲物の一つだ。狙った獲物は外さない。それがロビンフッドだ」


余談
ロビン・フッドは英国の伝承・伝説に登場する英雄。
舞台は1200年ごろの中世、シャーウッドの森に拠点を構える弓の名手で、金持ちから奪い貧しい者に分け与える盗賊=義賊とされる。
英国史上最も人気のない王「欠地王ジョン」(実在の王)と戦ったりする。
なお、頭の上にのせたリンゴを撃つのはロビン・フッドではなくウィリアム・デルである。

lovでは3から登場。
射手のはずだがアタッカー(ダッシュ近接攻撃)というインファイトスタイルがしばしばネタにされた。
フレーバーテキストによると、「彼女」はロビンフッドの恋人であり、
消えてしまった本物のロビンフッド(男性)の代わりにロビンフッドを名乗っていることが明らかにされる。

サヴァスロの彼女もまた、その設定を受け継いでいるようだ。
そしてサヴァスロの世界にはシャーウッドの森は無いらしい。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

当Wikiの見方・注意点

データ集

カード

コラボカード

フレーバーテキスト

カードテキスト

メンバーのみ編集できます