スクウェア・エニックス社より配信されているスマートフォンゲーム「サーヴァント オブ スローンズ」(サヴァスロ)の非公式攻略Wikiです。


ソエル

巨大な双剣を軽々と振り回し、
岩をも砕く斬撃を放つ狂戦士――――
戦いを求め、戦いに明け暮れる彼女に、名はない――はずであった――

「ソエル……ソエル。私の名だ」
狂戦士は自らの名を口にする。
違和感はない。むしろ使い込んだ双剣のように、どこまでも馴染む。
だが……誰が名付けたのだ、この名を。
いや、誰がくれたと言うべきなのか。
ソエルは一対一の決闘も、多勢に無勢も厭わない。
相手が人であろうと獣であろうと、それ以外であろうとかまわない。
しかし、多勢を相手にするとき、なぜかふと背中に寂しさを覚える。
不安ではない。背後に後れをとることもない。
だが、何か一抹の……物足りなさを感じるのだった。

「うっわぁ、本当に女の人だったんだ!」
森の中で、ソエルは噂好きなフェアリーの一団に囲まれていた。
ソエルは剣を両手に握ったまま石に腰かけ、フェアリーたちの相手をする。
「噂で、大男とでも聞いていたか?」
「あ、笑った! 思ってたよりも、全然普通の人っぽい!」
「普通の人、か。さすがにそれは的外れだな」
「そうかな? でも、狂戦士ってほどじゃないよ、ねー」
フェアリーたちはきゃっきゃと囃し立てる。
その瞬間、二つの剣がフェアリーたちの隙間を縫うように動いた。
一陣の風が吹き止む頃には、人狼が3つに分断されていた。
「……これでもか?」
「ひ……ひえええ〜!!」
フェアリーの群れはすぐに森の奥に隠れてしまった。
だが一人だけ、小さな羽をばたつかせて、神妙な面持ちで残ったフェアリーがいた。
「どうした。お前は逃げないのか?」
「……う、うん。あなたなら、あの怪物を倒してもらえるかも……」
「怪物……それは強いのか?」
「うん。すごく強いって噂なの」
「そういう噂なら歓迎だ。詳しく話してくれ」
ソエルは、心の底から笑った。

「あ、あれだよ! 危ないから、まだ近づかないで!」
怪物――フェアリーに案内されて、それはすぐに見つかった。
森の外れ、天へと伸びた木々よりもさらに高い。
金属質の、四角い壁を貼り合わせたかのような巨体……
(魔術師が作ったゴーレム……? いや、それにしては……精巧に過ぎる……)
泥や石で作られたゴーレムとは、その大きさもたたずまいも違いすぎる。
「あれね、遠くから見てるのは大丈夫なんだけどね。
ある程度近づくと、草でも、鳥でも、妖精でも、なんでも焼いちゃうの。
通りがかりの子にもそうだから、とっても危なくて……」
「火を吐くのか?」
「吐くと言うよりも……何て言えばいいんだろう……すごい勢いで、細くて真っ直ぐな火を出すの」
「……噂に聞く、機甲というやつかもしれないな」
「たぶん、そう。どう、やってくれる? お礼はあんまりできないけど……」
「前払いだ。すでにもらっている」
「え?」
フェアリーは目を丸くする。
「報酬は、危険と強敵。この狂戦士、それ以外は望まん」
ソエルは双剣を携えて、堂々と茂みを出て歩み出した。
同時に、機甲巨人の顔らしき部分が、ソエルを捉えた。

ソエルから数撃をもらい、機甲巨人は炎の照射をやめた。
おどおどと駆け寄ってきたフェアリーが、ソエルの後で羽ばたく。
「とどめ、刺さないの?」
「……戦う意思を失った者に、剣を振りかざしはしない。もう熱線を出すこともないだろう」
「で、でも……負けたふりをしてるだけかも」
「いや……この者との勝負はついた。何か……戦いの中で通じた、と言うべきか」
「通じた? 心がってこと?
でも……機甲って、心なんて無いって聞くよ?
後からいきなりビーって燃やされるかも……」
「機甲には心がない? 初耳だな。少なくとも、私はそう感じなかった」
ソエルが機甲に背を向けて歩き出すと、ズドン、と地鳴りが響いた。
機甲が、ソエルの後をつけるように一歩を踏み出したのだった。
「……ついてくるのか? お前は」
「……」
機甲は短く奇妙な音を響かせる。「そうだ」と返事をしたらしい。
「かまわん。お前もまた、狂戦士ということなのだろう」
「か、かまわんって……え〜!? こんな大きくて不気味なの連れて行くの!?」
「本人がそうしたいと言ってるんだ。私にはどうにもならん」
「ちょ、ちょっと……無茶だよ!危ないよ!
変! おかしい! 狂戦士! し、心配だよ〜!
わかった……わ、私も、ついていくから!」
双剣を肩に担いだ狂戦士と、小さな妖精と、大きな機甲。
穏やかな木漏れ日が照らす中、三人は妖精の森を抜け、
腕自慢の篤実な騎士がいるという王都へ向かって歩き出した。


余談
バーサーカーは今日戦士の意。

lov1から全ナンバリングに登場しているレギュラー使い魔。
lov1〜2までは「バーサーカー」という種族名だった。
機甲である「スピカ」と相棒になり、互いに「ソエル」「ステラ」と名を持つようになる。

サヴァスロではフィート専用の使い魔として参戦。
サヴァスロのソエルはスピカの記憶が無いようであるが、
・誰がくれた名前なのか覚えていない
・一対多勢のときに、背中に寂しさを感じている
・ツバーンが「機甲と戦った経験があるのか」と驚いている
等、本人の知らぬところで記憶を受け継いでいるのかもしれない。
フレーバーテキストでツバーンやベガの心を理解しているのも本能的なものか。

サヴァスロの使い魔は、lovの一定時点で「記憶が消されて、この世界に来た(この世界に生まれた?)」ような記述が多い。

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