「ソエル……ソエル。私の名だ」
狂戦士は自らの名を口にする。
違和感はない。むしろ使い込んだ双剣のように、どこまでも馴染む。
だが……誰が名付けたのだ、この名を。
いや、誰がくれたと言うべきなのか。
ソエルは一対一の決闘も、多勢に無勢も厭わない。
相手が人であろうと獣であろうと、それ以外であろうとかまわない。
しかし、多勢を相手にするとき、なぜかふと背中に寂しさを覚える。
不安ではない。背後に後れをとることもない。
だが、何か一抹の……物足りなさを感じるのだった。
狂戦士は自らの名を口にする。
違和感はない。むしろ使い込んだ双剣のように、どこまでも馴染む。
だが……誰が名付けたのだ、この名を。
いや、誰がくれたと言うべきなのか。
ソエルは一対一の決闘も、多勢に無勢も厭わない。
相手が人であろうと獣であろうと、それ以外であろうとかまわない。
しかし、多勢を相手にするとき、なぜかふと背中に寂しさを覚える。
不安ではない。背後に後れをとることもない。
だが、何か一抹の……物足りなさを感じるのだった。
「うっわぁ、本当に女の人だったんだ!」
森の中で、ソエルは噂好きなフェアリーの一団に囲まれていた。
ソエルは剣を両手に握ったまま石に腰かけ、フェアリーたちの相手をする。
「噂で、大男とでも聞いていたか?」
「あ、笑った! 思ってたよりも、全然普通の人っぽい!」
「普通の人、か。さすがにそれは的外れだな」
「そうかな? でも、狂戦士ってほどじゃないよ、ねー」
フェアリーたちはきゃっきゃと囃し立てる。
その瞬間、二つの剣がフェアリーたちの隙間を縫うように動いた。
一陣の風が吹き止む頃には、人狼が3つに分断されていた。
「……これでもか?」
「ひ……ひえええ〜!!」
フェアリーの群れはすぐに森の奥に隠れてしまった。
だが一人だけ、小さな羽をばたつかせて、神妙な面持ちで残ったフェアリーがいた。
「どうした。お前は逃げないのか?」
「……う、うん。あなたなら、あの怪物を倒してもらえるかも……」
「怪物……それは強いのか?」
「うん。すごく強いって噂なの」
「そういう噂なら歓迎だ。詳しく話してくれ」
ソエルは、心の底から笑った。
森の中で、ソエルは噂好きなフェアリーの一団に囲まれていた。
ソエルは剣を両手に握ったまま石に腰かけ、フェアリーたちの相手をする。
「噂で、大男とでも聞いていたか?」
「あ、笑った! 思ってたよりも、全然普通の人っぽい!」
「普通の人、か。さすがにそれは的外れだな」
「そうかな? でも、狂戦士ってほどじゃないよ、ねー」
フェアリーたちはきゃっきゃと囃し立てる。
その瞬間、二つの剣がフェアリーたちの隙間を縫うように動いた。
一陣の風が吹き止む頃には、人狼が3つに分断されていた。
「……これでもか?」
「ひ……ひえええ〜!!」
フェアリーの群れはすぐに森の奥に隠れてしまった。
だが一人だけ、小さな羽をばたつかせて、神妙な面持ちで残ったフェアリーがいた。
「どうした。お前は逃げないのか?」
「……う、うん。あなたなら、あの怪物を倒してもらえるかも……」
「怪物……それは強いのか?」
「うん。すごく強いって噂なの」
「そういう噂なら歓迎だ。詳しく話してくれ」
ソエルは、心の底から笑った。
「あ、あれだよ! 危ないから、まだ近づかないで!」
怪物――フェアリーに案内されて、それはすぐに見つかった。
森の外れ、天へと伸びた木々よりもさらに高い。
金属質の、四角い壁を貼り合わせたかのような巨体……
(魔術師が作ったゴーレム……? いや、それにしては……精巧に過ぎる……)
泥や石で作られたゴーレムとは、その大きさもたたずまいも違いすぎる。
「あれね、遠くから見てるのは大丈夫なんだけどね。
ある程度近づくと、草でも、鳥でも、妖精でも、なんでも焼いちゃうの。
通りがかりの子にもそうだから、とっても危なくて……」
「火を吐くのか?」
「吐くと言うよりも……何て言えばいいんだろう……すごい勢いで、細くて真っ直ぐな火を出すの」
「……噂に聞く、機甲というやつかもしれないな」
「たぶん、そう。どう、やってくれる? お礼はあんまりできないけど……」
「前払いだ。すでにもらっている」
「え?」
フェアリーは目を丸くする。
「報酬は、危険と強敵。この狂戦士、それ以外は望まん」
ソエルは双剣を携えて、堂々と茂みを出て歩み出した。
同時に、機甲巨人の顔らしき部分が、ソエルを捉えた。
怪物――フェアリーに案内されて、それはすぐに見つかった。
森の外れ、天へと伸びた木々よりもさらに高い。
金属質の、四角い壁を貼り合わせたかのような巨体……
(魔術師が作ったゴーレム……? いや、それにしては……精巧に過ぎる……)
泥や石で作られたゴーレムとは、その大きさもたたずまいも違いすぎる。
「あれね、遠くから見てるのは大丈夫なんだけどね。
ある程度近づくと、草でも、鳥でも、妖精でも、なんでも焼いちゃうの。
通りがかりの子にもそうだから、とっても危なくて……」
「火を吐くのか?」
「吐くと言うよりも……何て言えばいいんだろう……すごい勢いで、細くて真っ直ぐな火を出すの」
「……噂に聞く、機甲というやつかもしれないな」
「たぶん、そう。どう、やってくれる? お礼はあんまりできないけど……」
「前払いだ。すでにもらっている」
「え?」
フェアリーは目を丸くする。
「報酬は、危険と強敵。この狂戦士、それ以外は望まん」
ソエルは双剣を携えて、堂々と茂みを出て歩み出した。
同時に、機甲巨人の顔らしき部分が、ソエルを捉えた。
ソエルから数撃をもらい、機甲巨人は炎の照射をやめた。
おどおどと駆け寄ってきたフェアリーが、ソエルの後で羽ばたく。
「とどめ、刺さないの?」
「……戦う意思を失った者に、剣を振りかざしはしない。もう熱線を出すこともないだろう」
「で、でも……負けたふりをしてるだけかも」
「いや……この者との勝負はついた。何か……戦いの中で通じた、と言うべきか」
「通じた? 心がってこと?
でも……機甲って、心なんて無いって聞くよ?
後からいきなりビーって燃やされるかも……」
「機甲には心がない? 初耳だな。少なくとも、私はそう感じなかった」
ソエルが機甲に背を向けて歩き出すと、ズドン、と地鳴りが響いた。
機甲が、ソエルの後をつけるように一歩を踏み出したのだった。
「……ついてくるのか? お前は」
「……」
機甲は短く奇妙な音を響かせる。「そうだ」と返事をしたらしい。
「かまわん。お前もまた、狂戦士ということなのだろう」
「か、かまわんって……え〜!? こんな大きくて不気味なの連れて行くの!?」
「本人がそうしたいと言ってるんだ。私にはどうにもならん」
「ちょ、ちょっと……無茶だよ!危ないよ!
変! おかしい! 狂戦士! し、心配だよ〜!
わかった……わ、私も、ついていくから!」
双剣を肩に担いだ狂戦士と、小さな妖精と、大きな機甲。
穏やかな木漏れ日が照らす中、三人は妖精の森を抜け、
腕自慢の篤実な騎士がいるという王都へ向かって歩き出した。
おどおどと駆け寄ってきたフェアリーが、ソエルの後で羽ばたく。
「とどめ、刺さないの?」
「……戦う意思を失った者に、剣を振りかざしはしない。もう熱線を出すこともないだろう」
「で、でも……負けたふりをしてるだけかも」
「いや……この者との勝負はついた。何か……戦いの中で通じた、と言うべきか」
「通じた? 心がってこと?
でも……機甲って、心なんて無いって聞くよ?
後からいきなりビーって燃やされるかも……」
「機甲には心がない? 初耳だな。少なくとも、私はそう感じなかった」
ソエルが機甲に背を向けて歩き出すと、ズドン、と地鳴りが響いた。
機甲が、ソエルの後をつけるように一歩を踏み出したのだった。
「……ついてくるのか? お前は」
「……」
機甲は短く奇妙な音を響かせる。「そうだ」と返事をしたらしい。
「かまわん。お前もまた、狂戦士ということなのだろう」
「か、かまわんって……え〜!? こんな大きくて不気味なの連れて行くの!?」
「本人がそうしたいと言ってるんだ。私にはどうにもならん」
「ちょ、ちょっと……無茶だよ!危ないよ!
変! おかしい! 狂戦士! し、心配だよ〜!
わかった……わ、私も、ついていくから!」
双剣を肩に担いだ狂戦士と、小さな妖精と、大きな機甲。
穏やかな木漏れ日が照らす中、三人は妖精の森を抜け、
腕自慢の篤実な騎士がいるという王都へ向かって歩き出した。
バーサーカーは今日戦士の意。
lov1から全ナンバリングに登場しているレギュラー使い魔。
lov1〜2までは「バーサーカー」という種族名だった。
機甲である「スピカ」と相棒になり、互いに「ソエル」「ステラ」と名を持つようになる。
サヴァスロではフィート専用の使い魔として参戦。
サヴァスロのソエルはスピカの記憶が無いようであるが、
・誰がくれた名前なのか覚えていない
・一対多勢のときに、背中に寂しさを感じている
・ツバーンが「機甲と戦った経験があるのか」と驚いている
等、本人の知らぬところで記憶を受け継いでいるのかもしれない。
フレーバーテキストでツバーンやベガの心を理解しているのも本能的なものか。
サヴァスロの使い魔は、lovの一定時点で「記憶が消されて、この世界に来た(この世界に生まれた?)」ような記述が多い。
lov1から全ナンバリングに登場しているレギュラー使い魔。
lov1〜2までは「バーサーカー」という種族名だった。
機甲である「スピカ」と相棒になり、互いに「ソエル」「ステラ」と名を持つようになる。
サヴァスロではフィート専用の使い魔として参戦。
サヴァスロのソエルはスピカの記憶が無いようであるが、
・誰がくれた名前なのか覚えていない
・一対多勢のときに、背中に寂しさを感じている
・ツバーンが「機甲と戦った経験があるのか」と驚いている
等、本人の知らぬところで記憶を受け継いでいるのかもしれない。
フレーバーテキストでツバーンやベガの心を理解しているのも本能的なものか。
サヴァスロの使い魔は、lovの一定時点で「記憶が消されて、この世界に来た(この世界に生まれた?)」ような記述が多い。
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