スクウェア・エニックス社より配信されているスマートフォンゲーム「サーヴァント オブ スローンズ」(サヴァスロ)の非公式攻略Wikiです。


ギガス

おれ、巨人。
おれ、細かいこと、にがて。
おれ、難しいこと、わからない。
おれ、巨人だけど、お前の役に立てるか、わからない……
前に進んで、敵の砦を壊す?
おれ、それならわかる。それならできる!
――巨人は笑顔で前進し、難攻不落の砦の門をあっさりとこじ開けた。

「闇の巨人よ、生き生きとしているな」
足元から声がしたので、巨人は声の主を探した。
腕組みをして立つ、炎の魔人だった。
巨人はにかりと笑う。
「おれ、仕事できて、楽しい。俺、強い! グフフフフ」
「単純ならば、単純ゆえの強さがある……学ばせてもらったぞ、巨人」
「俺、褒められた? 俺、嬉しい! グフフフフ」
鼻歌を歌いながら敵の砦に向かうギガスの背に、炎の魔人は独りごちる。
「……金色に輝きし闇の巨人……我々は、やつを侮っていたかもしれんな……そうは思わんか?」
炎の魔人の呟きは、虚空へと消える。

敵軍の攻撃が砦を攻めようとしたそのとき――
砦の前に緑色の巨体が現れる。
敵軍は恐れおののき、砦を攻めることも忘れて巨人を攻め始めた。
巨人は敵の攻撃にかまいもせず、まっすぐに向かい側の砦へと歩を進めていく。
だが、その表情は笑ってはおらず、痛みに耐えているかのごとし。
巨人の背後、砦から援護する射手や魔術師たちは、その力を十全に発揮して敵を殲滅した。
(ロードよ……『囮』を願い出たのは、あの巨人からか)
本拠地から砦を見つめていたロードの心中に、声が響いた。
体内のアルカナからの問いかけに、ロードは無言で頷く。
(……強い!!)
それは、ロードの強大なる使い魔――竜皇の歓喜の咆哮だった。

おれ、でかい!
おれ、目立つ!
おれ、壊すだけじゃない! みんなの盾にも、なれる!
痛みを覚悟して戦場に降り立った巨人を、上空からの影が取り囲む。
空を機敏に舞い攻撃してくるハーピーやフェアリーを、愚鈍な巨人は払うすべを持たない。
敵は小物、それも小数。
だがそれでも、巨人は無力だった。
そのとき、空中からの電撃に撃たれて、断末魔と地に落ちた。
次の瞬間、また1体、さらに1体……次々と電撃を浴びて、落下していく。
「ちょっとあんた、無茶にもほどあるわよ!」
塔の上から、箒にのった魔女が手のひらに雷球を浮かべている。
「助かった。ありがとう」
「あら、素直じゃない。ふふん、私はこの塔……魔法陣の上にいる限り、百発百中なんだからね!」
「……おまえ、そこ、動けない……?」
「そ、そうよ……ポンコツで悪かったわね! あ、えっ……そんなの、アリ!? きゃっー!」
ギガスは魔女の作った塔をひっこぬき、担いで前進する。
魔女は悲鳴をあげながら、ギガスの型から電撃をばらまく。
これはいい。これは賑やか。こいつと一緒にいると、なんだか楽しい。

あれを見よ
あれを恐れよ
あれは魔種の中の魔種
金色に輝きし伝説の闇の巨人――
戦いの中で全ての力を解放した巨人は、最も強きロードの使い魔の一人として、畏怖と尊敬の荒野を征く。
その背後には、獄炎の魔人、あどけなき淫魔、最強の竜皇、偉大なる魔女――
紅蓮の血と炎に彩られし伝説が、今始まる。


余談
ギリシア神話に登場する巨人。
複数形・総称はギガンテス。

lov1.0からの最古参。たった2種類しかいなかった魔種SRの一枚だった。しかも最大コスト。
しかしその性能、とくに切り札となるべき30コストの技が、初心者から最上級者まで目を疑うような「効果無し」の技だったので、
誰の目にも優しい一目でわか残念SRとしてネタ化した。
最初期のlovはSRが最高レアであり、封入率も非常に低かったので、カードショップでは1枚1万円以上が珍しくない高騰具合だったが、ギガスは1000円未満で買えた。
金色に輝き闇属性だったので「金色なりし闇の王」などと言われ、(カード掘りの際に貴重なSR枠を消費して引いてしまうことを)恐れられた。
ネタとはいえ愛される人気キャラであったことは間違いなく、2や3にも登場している。

サヴァスロでは頼れる戦術の要として汚名返上、名誉挽回。
無骨だが、普通に強い。
フレーバーテキストもlov1時代を知る者たちが彼の強さを認める話となっており、
「実」で話しかけている炎の魔人はイフリート、
「真」で彼を強いと表している竜皇はバハムート、
「深」で彼とコンビを組んでいるのはウィッチ、
「罪」で出てきているあどけない淫乱魔はサキュバス(ミリア)、
皆、lov1.0からの最古参にしてギガスの同期・同僚である。
ウィッチを除けば皆が魔種の同僚で、ウィッチについては「偉大なる魔女のサーガ」で一緒に冒険をしていた。
本フレーバーテキストは、サヴァスロでギガスが再評価される10年来の物語と言えるだろう。

実でイフリートが「侮っていた……そう思わんか?」と尋ねている相手は、ニドかリシアか、スマホの前にいる古参のプレイヤーか。

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