ロードが呼んだそれは、人か使い魔か。
敵を切り裂いた影は、風か魔か。
いや、呼び出したそれは果たして……味方か敵か?
ロードは、今や姿形もかき消えた殺戮者の名を問う。
高く積み上げられた無数の敵の残骸、その陰が作り出す漆黒の洞から、返事があった。
「風の如く魔の如く。我は、風魔小太郎」
敵を切り裂いた影は、風か魔か。
いや、呼び出したそれは果たして……味方か敵か?
ロードは、今や姿形もかき消えた殺戮者の名を問う。
高く積み上げられた無数の敵の残骸、その陰が作り出す漆黒の洞から、返事があった。
「風の如く魔の如く。我は、風魔小太郎」
「……見事な働きであった。風魔小太郎、姿を見せよ」
――なぜ?
「なぜって……そなたは我が使い魔、姿ぐらい見せても……」
――フ……いいのか? 姿を目にすれば、せっかくの警戒心が揺らぐぞ。
「……」
――覚えておけ、ロードとやら。
忍びが姿を見せるときは、欺くために姿を晒す。
光があるから影があるのではない。
我々の理では、影があるから光を見せるのだ。
そう、この言葉すらお前は疑うがいい。
忍びを用いるとはそういうことだ、新たなロードよ。
ではこれにて、御免――
――なぜ?
「なぜって……そなたは我が使い魔、姿ぐらい見せても……」
――フ……いいのか? 姿を目にすれば、せっかくの警戒心が揺らぐぞ。
「……」
――覚えておけ、ロードとやら。
忍びが姿を見せるときは、欺くために姿を晒す。
光があるから影があるのではない。
我々の理では、影があるから光を見せるのだ。
そう、この言葉すらお前は疑うがいい。
忍びを用いるとはそういうことだ、新たなロードよ。
ではこれにて、御免――
幾度の戦場を重ねて、ロードの前に忍びはついに姿を現した。
流れるような細い銀髪。
形も素材も目にしたことのない、薄手の装甲甲冑。
そして両手には……三本のまさかりを一つに繋げたような、風車のような武器。
理解を超えた異形だ。
なぜ今さら、姿を見せる気になった――?
ロードの問いに、疾風迅雷の忍びは無表情で答える。
「一団に、忍ぶつもりもない忍びが入ったゆえ。
今さら律儀に忍んでいても、仕方が無い」
「まあ、なんであれ姿を見せてくれたことは嬉しい――」
「甘い」
その瞬間、ロードの背後から現れた『もう一人の』風魔小太郎が、
ロードの首元に剣状の刃を当てていた。
……二人!?
ロードが目をむいた時には、眼前の小太郎は消えている。
小太郎はロードの耳元で囁いた。
「問に答えるのは、煙に巻くため。
一人で姿を見せれば、二人以上であると疑われぬため。
得物の形を晒すのは、得物の間合いを偽るため。
忍びと付き合うとは、そういうことだ。
……もし俺が敵のロードの使い魔であったら、
面倒なことになっていたぞ」
だがロードは、小太郎の手首を掴んだ。
「……お前、笑っているのか?」
ロードは微笑む。
とりあえず同じ体温を持つ人間であることはわかった、と。
流れるような細い銀髪。
形も素材も目にしたことのない、薄手の装甲甲冑。
そして両手には……三本のまさかりを一つに繋げたような、風車のような武器。
理解を超えた異形だ。
なぜ今さら、姿を見せる気になった――?
ロードの問いに、疾風迅雷の忍びは無表情で答える。
「一団に、忍ぶつもりもない忍びが入ったゆえ。
今さら律儀に忍んでいても、仕方が無い」
「まあ、なんであれ姿を見せてくれたことは嬉しい――」
「甘い」
その瞬間、ロードの背後から現れた『もう一人の』風魔小太郎が、
ロードの首元に剣状の刃を当てていた。
……二人!?
ロードが目をむいた時には、眼前の小太郎は消えている。
小太郎はロードの耳元で囁いた。
「問に答えるのは、煙に巻くため。
一人で姿を見せれば、二人以上であると疑われぬため。
得物の形を晒すのは、得物の間合いを偽るため。
忍びと付き合うとは、そういうことだ。
……もし俺が敵のロードの使い魔であったら、
面倒なことになっていたぞ」
だがロードは、小太郎の手首を掴んだ。
「……お前、笑っているのか?」
ロードは微笑む。
とりあえず同じ体温を持つ人間であることはわかった、と。
銀色の月が雲間から明々と姿を現す。
風魔小太郎は、夜闇の冷気に映える月を眺めていた。
その背後に音も無く降り立った者が一人。
草を踏みしめたにもかかわらず、足下の鈴虫たちは何事も無かったかのように穏やかに鳴き続けている。
「ずいぶんと、あのロードに執心のようだな」
背後の影は、小太郎に問うた。
小太郎は振り返りもせずに答える。
「フ……権力におもねるのは貴様らの専売特許だものな、服部半蔵」
「痴れ言を。影から出られなくなった虚しき一族は、末代すらよく僻むらしい」
憎まれ口を叩き合った二人は、少しも気にする様子がない。
むしろそこには……忍びだけに通じる、和解の空気すらあった。
「半蔵よ。名、一族、この世においていかばかりに思う」
「……この世には伊賀もなく相模もなく。徳川も北条もなければ」
「そう、我らは真に自由。真の意味で世俗から解き放たれ、闇の住人となった」
「……なればこそ、なして新しき主君を求めるか。風魔よ」
涼やかな風が、沈黙を運んだ。
「忍びの性分らしい」
「ほう、面白い。忍びの性分とはいかに?」
「奇々怪々な面倒ごとほど、首をつっこみたがる」
「すわ、違いない!」
月夜に、忍び二人の笑い声が響いた。
風魔小太郎は、夜闇の冷気に映える月を眺めていた。
その背後に音も無く降り立った者が一人。
草を踏みしめたにもかかわらず、足下の鈴虫たちは何事も無かったかのように穏やかに鳴き続けている。
「ずいぶんと、あのロードに執心のようだな」
背後の影は、小太郎に問うた。
小太郎は振り返りもせずに答える。
「フ……権力におもねるのは貴様らの専売特許だものな、服部半蔵」
「痴れ言を。影から出られなくなった虚しき一族は、末代すらよく僻むらしい」
憎まれ口を叩き合った二人は、少しも気にする様子がない。
むしろそこには……忍びだけに通じる、和解の空気すらあった。
「半蔵よ。名、一族、この世においていかばかりに思う」
「……この世には伊賀もなく相模もなく。徳川も北条もなければ」
「そう、我らは真に自由。真の意味で世俗から解き放たれ、闇の住人となった」
「……なればこそ、なして新しき主君を求めるか。風魔よ」
涼やかな風が、沈黙を運んだ。
「忍びの性分らしい」
「ほう、面白い。忍びの性分とはいかに?」
「奇々怪々な面倒ごとほど、首をつっこみたがる」
「すわ、違いない!」
月夜に、忍び二人の笑い声が響いた。
全てを疑う。
真に奸計を用いる者は、小出しにした情報こそ罠の戸口とする。
自明、疑う余地なしの大前提にこそ罠を張る。
俺は風魔小太郎……
次元を渡り、この世界に住み着いた抜け忍……
それは本当か?
俺が生まれ出でた世界、追っ手からからくも逃げおおせた先は……
本当にこの世界だったか?
赤眼のロード、赤眼の皇帝……この戦の仕掛け人は、どこにいる?
忍びと世界の化かし合い。相手にとって不足はない。
「風魔小太郎、参る」
ロードの影の中から、風と魔が戦場に躍り出る。
真に奸計を用いる者は、小出しにした情報こそ罠の戸口とする。
自明、疑う余地なしの大前提にこそ罠を張る。
俺は風魔小太郎……
次元を渡り、この世界に住み着いた抜け忍……
それは本当か?
俺が生まれ出でた世界、追っ手からからくも逃げおおせた先は……
本当にこの世界だったか?
赤眼のロード、赤眼の皇帝……この戦の仕掛け人は、どこにいる?
忍びと世界の化かし合い。相手にとって不足はない。
「風魔小太郎、参る」
ロードの影の中から、風と魔が戦場に躍り出る。
史実の風魔小太郎は戦国時代末、相模の国で活躍した忍び。
lov3から参戦。70コストと人間としては強大な使い魔。
主人公・琥珀のパートナー使い魔として琥珀を見守り、導いた。
lov4でも、主人公・虎鉄のパートナー使い魔として(風間さんの人格を塗りつぶして)側に仕えている。
lov3〜4の風魔小太郎は、江戸をとうに過ぎ明治時代の軍部に仕える13代目風魔小太郎らしい。だから恰好が未来的。
「元いた世界」を逃れ、lov3の世界に流れ着いたところを琥珀に助けられた。
サヴァスロの風魔小太郎は、lov3世界の記憶のみが抜け落ちている様子。
服部半蔵と会話をしているが、lovの半蔵は江戸時代初期から来た人なので、元いた時代には300年近い差がある。
lov3から参戦。70コストと人間としては強大な使い魔。
主人公・琥珀のパートナー使い魔として琥珀を見守り、導いた。
lov4でも、主人公・虎鉄のパートナー使い魔として(風間さんの人格を塗りつぶして)側に仕えている。
lov3〜4の風魔小太郎は、江戸をとうに過ぎ明治時代の軍部に仕える13代目風魔小太郎らしい。だから恰好が未来的。
「元いた世界」を逃れ、lov3の世界に流れ着いたところを琥珀に助けられた。
サヴァスロの風魔小太郎は、lov3世界の記憶のみが抜け落ちている様子。
服部半蔵と会話をしているが、lovの半蔵は江戸時代初期から来た人なので、元いた時代には300年近い差がある。
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