財宝を蓄えていた暴竜は、命乞いをしなかった。
この財方は交渉のための道具ではない。
我が万物より奪いし証。我が生きた証。
我を打ち倒し勝者にくれてやる褒美。
だが見事なる人間の王子よ、それだけでは飽き足らぬ。
我が血の祝福も、受け取れい――
暴竜はジークフリートに鮮血を浴びせて、息絶えた。
ジークフリートは、その体が不死に変わることを実感した。
彼はこの遠征において、初めて戸惑った。
これでは……「勇敢に戦い死ぬ」ことができない。
彼女が待つヴァルハラに、行けないではないか――!
愛しのブリュンヒルデ。
死した勇敢な戦士の魂をヴァルハラへと送る、ワルキューレの娘。
将来を誓い合った彼女と結ばれるために、私は全ての力をもって生を全うしなければならない。
卑怯や不実はあってはならない。
ヴァルハラへ行けるのは、勇敢に戦い敗れた戦士の魂のみなのだから。
だが……今や私の力には「不死身」すら加わった。
ああ、追いかけるほどに遠ざかる、円環無限の宿命よ。
その時だった。
暴竜の秘宝の中、黄金に輝く指輪が、凶々しい煌めきで私の瞳をとらえたのは。
「ニーベルングの指輪」。
それは恐るべき秘宝だった。
生命力を代償に、使用者と武器を一体化させ鬼人と変える変化の秘宝。
私が受けた不死の加護すら凌駕するほどの消耗が体を襲う。
私は歓喜した。
これならば……この指輪を用いれば……私は不死を捨て、敗れることができる!
しかしその喜びはすぐに失望へと変わった。
この指輪の力で鬼人となった私は、さらに敗北から遠ざかってしまったのだから。
原因を辿れば結果に着く。
結果を辿れば原因が生まれる。
ねじれた指輪のように、指で裏を辿ればいつの間にか表に、表を辿り気がつけば裏に。
まるで、私の運命が弄ばれているかとしか思えないこの数奇。
いつか、彼女と結ばれることはあるのだろうか?
例え私が生き続けたとして、天寿を全うする瞬間に「不老」の祝福……いや、呪いがないとも限らない。
私は理解した。
表もなく裏もない、ねじれた円環の理を打破しなければならない。
それこそが私の最強にして最大の敵というならば――
この剣、同じく因果を曲げんとする者にこそ捧げよう。
そして、その死闘の行く末を見極めよう。
私は笑った。
私を迎え入れたロードの一団には、ブリュンヒルデの同僚も、その主すらもいた。
本来彼女との再会の後に出会うべき人々と、彼女よりも先に邂逅を果たす。
かつての私ならば、このような運命の悪戯を歯がゆく思い、冗長を強いられる生を呪っていたことだろう。
だが、裏表、前後、その考えが無意味だとしたら。
坂は坂。立つ位置によって上り坂や下り坂と名が変わるだけ。
だから、私の生というただ一つの時があるとして……
時の流れが、決して一方向と限らないとすれば。
いつ会えるかが重要では無い。
いつか会えることが重要なのだ。
不死の力も指輪の力も、彼女へと続くこの輝かしき生を彩るために用いよう。
それが、このジークフリートの生き様という剣だ。
ドイツの伝承「ニーベルンゲンの歌」に登場するネーデルランドの王子であり、主人公。
「ニーベルンゲンの歌」は、ジークフリートの活躍、その死、妻クリームヒルトの復讐劇、その死という悲劇的な伝承。
1200年ごろの成立で、伝承の舞台は500年〜600年代となっている。
これには竜もワルキューレも忘れ薬も出てこない。
これを元に、近代に大きく脚色されて作曲されたのが、ワーグナーの「ニーベルングの指輪」である。
制作期間は1848年から1874年の35年間で4部制作、通しで上演すると15時間かかるので三日に分けるという超長大なオペラに仕上がった。
竜を殺して不死となったジークフリート、ワルキューレとの恋などは、こちらの内容。
lovのジークフリートもワーグナーの「ニーベルングの指輪」を原作としているようだ。
lovでは3から登場。
マナを消費することで「不死性を失うが絶大な攻撃力を得る指輪」の力を解き放つチェンジ能力の使い魔であった。
サヴァスロでは『七つの大罪』コラボ「メリオダス」のリンクカードとして登場。
フレーバーテキストでは
「ニーベルンゲンの歌」は、ジークフリートの活躍、その死、妻クリームヒルトの復讐劇、その死という悲劇的な伝承。
1200年ごろの成立で、伝承の舞台は500年〜600年代となっている。
これには竜もワルキューレも忘れ薬も出てこない。
これを元に、近代に大きく脚色されて作曲されたのが、ワーグナーの「ニーベルングの指輪」である。
制作期間は1848年から1874年の35年間で4部制作、通しで上演すると15時間かかるので三日に分けるという超長大なオペラに仕上がった。
竜を殺して不死となったジークフリート、ワルキューレとの恋などは、こちらの内容。
lovのジークフリートもワーグナーの「ニーベルングの指輪」を原作としているようだ。
lovでは3から登場。
マナを消費することで「不死性を失うが絶大な攻撃力を得る指輪」の力を解き放つチェンジ能力の使い魔であった。
サヴァスロでは『七つの大罪』コラボ「メリオダス」のリンクカードとして登場。
フレーバーテキストでは
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